2013年6月17日月曜日

第12回ビジネス法務クイズ 第28回3級問3解答

2011年12月(第30回)、2012年 6月( 第31回)、 2012年12月(第32回)の過去問は、
現在販売中の2013年度版ビジネス実務法務検定3級公式問題集に載っています。
是非、書店で入手するようおすすめいたします。


==以下、ビジネス実務法務検定第28回 第3問  の解答です。========


第3問 ア:①  イ:①  ウ:②  エ:③  オ:④

本解答についての解説の投稿を募集しております。 tokyo_acsp@hotmail.co.jp 宛に
ビジネス法務クイズ第○○回解答の解説投稿しますとタイトルに明記しお送りください。
必要な修正を施し、掲載させていただきます。(掲載しない場合もありますのでご了承ください。)
なお、投稿者については、ご希望に応じお名前・ニックネーム公表もしくは匿名をさせていただきます。


受講生の「M.A.」さんの解説です。>>

3問 (10点)
次のア~オの設問に答えなさい。

ア.株式会社の機関に関する次のadの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせをの中から1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

a
.取締役は、法令や定款、株主総会の決議を遵守し、忠実に職務を行う義務を負う。
《解答》    正しい
《解説》 
 ⇒取締役は株主総会の決議によって選任され(会社法3291項)、会社との関係は委任もしくは準委任の関係です(会社法330条)。したがって取締役は会社との関係において受任者として「善良な管理者としての注意義務(善管注意義務、民法644条)」を負い、具体的な表現として「法令や定款、株主総会の決議を遵守し、忠実に職務を行う義務を負う」とされています(会社法355条)。

b.複数の取締役が選任されている株式会社は、会社法上、取締役会を設置することが義務付け
られている。
《解答》  誤り
《解説》 
⇒特に義務付けられてはいません。設置されていない場合は、株式会社の業務は、原則として、取締役の過半数をもって決定されます(会社法3482項)。

c
.取締役会設置会社の株主総会は、会社法や定款に定められた事項に限り、決議をすることができる。
《解答》   正しい
《解説》 
⇒会社法295条に定められています。決議事項は大きく「会社の基礎ないし事業の基本にかかわる事項(定款の変更・資本の減少・会社の解散・合併)「株主の重要な利益に関する事項(計算書類のの承認)」「機関の選任・解任に関する事項(取締役などの選任・解任)」「役員の専横の危険が大きな事項(取締役等の報酬の決定)」に限られます。

d.取締役がその職務を執行するについて第三者に損害を生じさせても、当該取締役が第三者に対し損害賠償責任を負うことはない。
《解答》   誤り
《解説》 
   ⇒誤り。取締役は、故意または過失によって、会社債権者等の第三者に損害を与えた場合は、不法行為責任を負い、その損害を賠償しなければなりません(民法709条)

ac  ad  bc  bd


【解答】①

イ.著作権に関する次のの記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

著作権法上の著作物は、言語の著作物および美術の著作物に限られる。
《解答》適切ではない。  
《解説》 
  ⇒プログラムなども対象になります。


著作者には、その著作物を複製する権利である複製権が認められる。
《解答》適切

《解説》 
  ⇒もっとも、著作権法は一定の場合に、著作権を制限し、著作者と著作物を利用する間の利益調整を図っています。(例えば私的利用の為の複製などは認められています。)


著作権は、著作物を創作した時点で発生する。
《解答》適切

《解説》 
  ⇒一方、特許権、意匠権・商標権は特許庁への出願が必要。


著作者は、著作人格権の1つとして、著作物およびその題号の同一性保持権を有する。
《解答》適切
《解説》 
  ⇒同一性保持権とは著作物及びその題号の同一性を保持する権利であり、著作者は、自己の意に反して著作物及びその題号の変更、切除、その他の改変を受けないものとされています。

【解答】①


ウ.Xは、自己所有の土地上に自宅を新築するため、建設業者であるY社に対して建物の建築を依頼し、Y社はこれを承諾した。この場合に関する次のの記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

XY社との間の請負契約は、民法上、当事者間における意思表示の合致だけでは成立せず、その内容を契約書等の書面にすることにより有効に成立する。
《解答》適切ではない。  
《解説》 
 ⇒適切ではない。契約は本来何の様式も要求されません。(一部、保証契約は書面で作成しない限り効力を発揮しないなどの例外を除く)

Y社は、Xとの間で特段の約定をしない限り、民法上、建物が完成した後でなければXに対して報酬を請求できない。
《解答》適切
《解説》 
⇒適切。建物は一般に完成後でなければ報酬を請求できません。

Y社は、建物を完成させ、Xにこれを引き渡したが、当該建物に瑕疵が存在することが判明した。この場合、民法上、Xは、当該瑕疵の発生につきY社に帰責事由がなければ、Y社に損害賠償を請求することができない。
《解答》適切ではない。  
《解説》 
 ⇒適切ではない。債務の不完全履行に該当する為、損害賠償を請求できます。

Xは、Y社が建物を完成させた後であっても、その建物に重大な瑕疵があった場合には、契約を解除することができる。
《解答》適切ではない。  

《解説》 
 適切ではない。売主の担保責任として、売主に帰責事由が無くても、売買契約成立時に買主自身が欠陥を知らなければ、買主は売主に対して損害賠償を請求することが出来ます。欠陥の存在によって契約の目的を達成できないときは契約解除を求めることが出来ます。

【解答】②


エ.不法行為に関する次のの記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。



Aは、知人のBと口論になり、その際Bを殴打し負傷させた。この場合において、Aの行為に不法行為が成立するときは、BAに対して、支出した治療費などの財産的損害のほか、事故が受けた精神的苦痛などの非財産的損害についても、賠償を請求することができる。
《解答》適切
《解説》 
 ⇒適切。損害には財産的損害(現実に出費された損害)と非財産的損害(収入として見込んでいたのに得られなかった収入や精神的損害、名誉・信用などの毀損)があります。

Aは、突然殴りかかってきたBから身を守るために、Bを突き飛ばして負傷させた。ABに対する反撃が正当防衛に当たる場合、ABに対して不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。
《解答》適切

《解説》 
 適切。加害措置に正当防衛や緊急避難などが成立する場合は、違法性が認められず、不法行為は成立しません。こういったものを違法性阻却事由と言います。

Aは、Bに暴行を加え負傷させた。Aが未成年者であれば、Aに責任能力が認められる場合であっても、ABに対して不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。
《解答》適切ではない。
《解説》 
 ⇒適切ではない。未成年者なので不法行為に当たらない訳ではありません。未成年者において、責任能力の有無を区別する目安としては、判例は概ね11~12歳で区別しています。

Aが、過失により自転車をBに衝突させ、不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合、ABに対して、その生じた損害を賠償しなければならない。この場合の損害賠償は、金銭によるのが原則である。
《解答》適切
《解説》 
 ⇒適切。損害賠償は金銭によるのが原則です。(民法7221項・417条)。一部、例外的に名誉棄損の場合について、被害者の請求により裁判所が原状回復(具体的には謝罪広告など)を命じることがあります。

【解答】: 

オ.A社は、B社に対して金銭を貸し付けるに際し、当該貸金債権を担保するために、B社所有の甲建物を目的物として抵当権設定契約を締結し、その登記を了した。この場合に関する次のの記述の内、その内容が最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

B社が、A社との間で抵当権設定契約を締結すると同時に、A社に甲建物を引き渡さなければ、本件抵当権は生じない。
《解答》適切ではない。
《解説》 
 ⇒適切ではない。抵当権は債権者が目的物の引き渡しを受けずに所有者に従来通り利用させます。
これは目的物の引き渡しを伴う質権との違いです。


B社は、A社に借入金の一部を弁済した。この場合、A社に甲建物を設定を受けた抵当権の効力は、その弁済額に対する割合に応じて一部消滅し、甲建物の全体にその効力が及ばなくなる。
《解答》適切ではない。
《解説》 
 適切ではない。抵当権は不可分性があります。

甲建物が第三者の所有する土地上に建てられている場合、A社が甲建物に設定を受けた抵当権の効力は、甲建物のために設定された敷地の利用権には及ばない。
《解答》適切ではない。

《解説》 
 ⇒適切ではない。抵当権の効力は、抵当権の目的となっている不動産そのものだけでなく、抵当権設定の時点で抵当不動産上に存し、その経済的な効用を助ける為に、継続してその不動産に備えられたものにも及びます。

B社が甲建物に抵当権を設定した後、甲建物は火災で焼失した。B社が甲建物に火災保険を付していた場合、A社は、B社の火災保険金請求権を自ら差し押さえて、物上代位権を行使し、B社が受け取るべき火災保険金から自己の債権を回収することができる。
《解答》適切
《解説》 
 ⇒適切。抵当権は、本来の目的物だけでなく、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって抵当権設定者の受けることのできる金銭、その他のもの(代償物)にたいしても行使することが出来ます。これを物上代位と言います。


【解答】:④



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